こんにちは。株式会社スリーピースコーポレーションの薬剤師、菅野です。
「ダイエット漢方」をご存知でしょうか。
「漢方でダイエットができるの?」と驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。
西洋医学の処方薬と違い、東洋医学の漢方薬は体質改善に効果的なのでダイエットとの相性がよいのです。
本記事では、ダイエット漢方の詳細や、ダイエット漢方はどのような方に効果的なのかを詳しく解説いたします。
ダイエット漢方で体質改善をしてみたいとお考えの方は、ぜひ最後までごらんください。
- 1. ダイエットに効果的な漢方とは何か - 基礎知識
- 1.1. (1) 漢方の歴史と特性
- 1.2. (2) 漢方がダイエットに及ぼす効果
- 2. ダイエット漢方薬のメリット
- 2.1. 体質改善に繋がりリバウンドを防ぐ
- 2.2. 生活のバランスを整え無理な運動や食事制限を必要としない
- 2.3. 減量以外の体の悩みにも有効
- 3. ダイエットに使える漢方の種類とその効果
- 3.1. (1) ボウフウを用いた漢方薬
- 3.2. (2) ソウジュツを用いた漢方薬
- 3.3. (3) カンゾウを用いた漢方薬
- 4. タイプ別ダイエット漢方薬
- 4.1. ストレス太りタイプ
- 4.2. むくみタイプ
- 4.3. 食べ過ぎ太りタイプ
- 5. ダイエット漢方の適切な使用方法
- 5.1. (1) 漢方薬の服用タイミング
- 5.2. (2) 一日に摂るべき量
- 5.3. (3) 飲み合わせと注意点
- 6. ダイエット漢方の副作用について
- 7. 漢方を用いたダイエット成功の秘訣
- 7.1. (1) 適度な運動とバランスの良い食事
- 7.2. (2) 定期的な健康診断と医師とのコミュニケーション
- 8. ダイエット漢方薬についてのまとめ
ダイエットに効果的な漢方とは何か - 基礎知識
ダイエットに効果的な漢方薬とは、どのようなものなのでしょうか。
そもそも漢方薬は、どのように使われてきたかも合わせて確認していきましょう。
(1) 漢方の歴史と特性
漢方の歴史は古く、数千年の歴史を持っています。
「傷寒論」という古典をご存知でしょうか。
2世紀に作成された、現代の東洋医学に通ずる書物のことです。
傷寒論で解説されている漢方の考え方を簡単に説明すると、不具合を引き起こす症状は体に必要な気・血・水という概念が多すぎるか(実)、少なすぎるか(虚)で診断していきます。
それだけでなく体の表面に症状が現れているか、内臓に症状が現れているかなど、詳しく問診で確認していくのです。
つまりどのような体の不調が引き起こされているのかを問診し、その症状に合わせた漢方薬を処方します。
体に合わせたオーダーメイドのような処方のため、漢方薬は比較的体に優しいとされています。
西洋薬は科学的なメカニズムに基づき、「一病一薬」の考え方で処方されるのですが、漢方薬は体質を総合的に判定し処方されるのが特徴です。
(2) 漢方がダイエットに及ぼす効果
漢方は、元々と体が持っている、代謝能力や排泄促進の効果を促す効果があります。
その結果ダイエットにつながっていくのです。
代謝能力の改善が行われると、今まで食事の中の栄養成分が体の中に滞った結果、太ってしまうことも。
また排泄に関しても、体の中に不必要な成分が滞ることでむくんだり、太ってしまいます。
代謝や排泄は私達の生活習慣に大きく依存しているため、漢方薬での体質改善とダイエットは密接に関わっていると言えるでしょう。
ダイエット漢方薬のメリット
ダイエット漢方には様々なメリットがありますが、代表的なものを挙げてみました。
一緒に確認していきましょう。
体質改善に繋がりリバウンドを防ぐ
ダイエット漢方を摂ることは、体質改善を行っていくこと。
つまり体の中を根本的に変えていくため、リバウンドが起きにくいのです。
ダイエット漢方の摂取は食事制限とよく比べられます。
無理な食事制限を行ったあとは体が飢餓状態にあるため、必要以上に栄養素を取り込もうとしてしまうのです。
余分な栄養を体に取り込んでしまい、かえって体重が増えてしまう状態をリバウンドと言います。
一方、ダイエット漢方では急激な体重変化は望めませんが、リバウンドしにくい体作りを行うことができます。
生活のバランスを整え無理な運動や食事制限を必要としない
ダイエット漢方の摂取は、体に急激な負担をかけずに痩せ体質につなげます。
体の負担の代表例は、食事制限や無理な運動です。
食事制限を行うと、体に必要な機能、例えば筋肉量が低下してしまい、基礎代謝が落ちてしまうことも。
基礎代謝が落ちてしまうと、痩せにくい体質になってしまいます。
ジム通いや散歩などの運動は、習慣化するまで続けられない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
一方、ダイエット漢方は自分の症状に合わせた漢方薬を服用するだけ。
服用するだけなら習慣化し、生活のバランスを整え、無理なく痩せ体質に改善することができるでしょう。
減量以外の体の悩みにも有効
ダイエット漢方薬は、減量以外の体の悩みにも有効です。
例えば、むくみが酷く、その結果太ってしまう方がいるとしましょう。
そのような場合は「防已黄耆湯」という漢方薬が処方されることが多いです。
この漢方薬の効果は体内の水分を排泄したり、水分のめぐりを良くする効果だけでは有りません。
例えば、むくみが取れた結果、関節の痛みが改善されたりなどの効果があります。
このようにダイエット漢方はダイエットの目的以外にも、体の悩みに効果的なのです。
ダイエットに使える漢方の種類とその効果
ダイエットに使える漢方は複数あります。
代表的な漢方薬の効果と、漢方薬の中に含まれる生薬について確認していきましょう。
(1) ボウフウを用いた漢方薬
ボウフウを用いた代表的なダイエット漢方は「防風通聖散」です。
ボウフウの有効成分は
- 抗ウイルス作用
- 解熱作用
- 消炎鎮痛作用
- 血圧降下作用
- 胃粘膜を守る作用
- 関節炎を抑制
などの効果を持ちます。
「防風通聖散」としての効果は、体の代謝を改善し、水分を排泄。
皮下脂肪が多い方の便秘症などを改善します。
比較的体力のある、体に熱がこもりやすい方に処方されることが多いようです。
(2) ソウジュツを用いた漢方薬
ソウジュツを用いた代表的なダイエット漢方は「防已黄耆湯」です。
ソウジュツの有効成分は
- 健胃作用
- 整腸作用
- 止汗作用
- 利尿作用
などの効果を持ちます。
「防已黄耆湯」は水分代謝を促し、むくみを取る効果がダイエット漢方として注目されています。
防已黄耆湯の中には防已、黄耆などの利尿作用が多く含まれ、むくみを取る効果に優れているためダイエット漢方として用いられるのです。
防已黄耆湯は水太りで、足がむくみやすい、疲れやすい人によく処方されるようです。
(3) カンゾウを用いた漢方薬
カンゾウを用いた代表的なダイエット漢方は「桃核承気湯」です。
カンゾウの有効成分は次のような効果があります。
- 抗炎症作用
- 鎮痛作用
- 去痰鎮咳作用
- 抗アレルギー作用
「桃核承気湯」は血の巡りが悪くなっている状態を改善し、のぼせや便秘がちな症状によく処方されます。
女性の頑固な便秘や、月経不順などに伴う腰痛などでよく処方されるようです。
タイプ別ダイエット漢方薬
ダイエット漢方は、体質に合わせて使うことが重要です。
体質のタイプ別におすすめの漢方をご紹介します。
ストレス太りタイプ
ストレス太りタイプには、「大柴胡湯」がおすすめです。
大柴胡湯にはストレスを抑える効果があり、ストレスから来る暴飲暴食を防いでくれます。
また胃腸の働きを活発にし、便秘を改善する効果も期待できるのです。
大柴胡湯はある程度体力に自信があり、胃腸が強い人によく処方されます。
逆にいうと胃腸が弱い、冷え性タイプの方にはあまりおすすめできません。
むくみタイプ
むくみタイプの方には「防已黄耆湯」がおすすめです。
水分代謝が滞ってしまうと、胃腸の働きが落ちてしまいます。
水分の排泄を促進し、むくみを取るだけでなく、内臓脂肪を減少させる効果もあるのです。
防已黄耆湯は体力があまりなく、疲れやすく胃腸があまり強くない方によく処方されます。
食べ過ぎ太りタイプ
食べ過ぎ太りタイプの方には「防風通聖散」がおすすめです。
食べ過ぎてしまうと、体内に熱がこもってしまいます。
その結果、消化器官が疲れてしまい、栄養素を過剰に溜め込んでしまい肥満につながります。
防風通聖散は体内の熱を外に逃がすことで、消化器官を動かし便秘も解消します。
その結果、体脂肪を減らす効果が認められているのです。
もちろんお腹周りの脂肪にも効果あり。
防風通聖散は、ある程度体力が有り食欲旺盛、吹き出物などができる人によく処方されます。
逆に冷え性で、胃腸が弱い方にはあまり処方されません。
ダイエット漢方の適切な使用方法
ダイエット漢方には、適切な服用タイミングや注意すべき点があります。
詳しく確認していきましょう。
(1) 漢方薬の服用タイミング
漢方薬の服用タイミングとしてベストなのは食事の30分前です。
なぜ30分前なのかというと、お腹の中に食物が入っていないほうが吸収されやすくなるからです。
早く吸収されると、漢方薬の効果が発揮されやすくなります。
ただし、食前で服用するのは忘れやすく、結局飲まなかったという方の相談もよく受けます。
そのような場合は、食後のタイミングで服用しても構わないとご回答することが多いです。
食後で服用しても、著しく効果が減弱してしまうわけでは無いからです。
漢方薬は即効性がある方が少ないので、継続してもらうことが大事です。
ベストな飲み方は食前ですが、多少服用時間がずれたとしても問題ないので継続して服用しましょう。
(2) 一日に摂るべき量
一日に摂るべき量は、医師の指示通りの量を服用しましょう。
一般的な処方薬である「ツムラ」の漢方薬であれば1日量が7.5gに設定されていることが多いです。
漢方薬ごとに1日量は設定されています。
しかし全員に1日量が処方されるわけではなく、体質によって減量されることがあります。
多く飲めば、早く体質が改善されるというわけでもないので、医師の指示には必ず従いましょう。
(3) 飲み合わせと注意点
漢方の中には同じ生薬が配合されているものがあります。
例えば「芍薬甘草湯」と「桂枝加竜骨牡蛎湯」。
芍薬甘草湯はこむら返りなどに使い、桂枝加竜骨牡蛎湯は不眠やストレスの緩和などに処方されることがあります。
全く違う効果を持ち、名前も異なりますが、両者とも「カンゾウ」という生薬を含んでいるのです。
もし同時に同じ生薬を含んだ漢方を飲んでしまうと、著しく効果が落ちてしまう、または効果が強く出ることも。
漢方を2種類以上服用するときは、医師、または薬剤師に相談しましょう。
ダイエット漢方の副作用について
ダイエット漢方は体に優しいといわれていますが、副作用が無いわけでは有りません。
例えば「カンゾウ」という成分。
優れた薬効を持つため、様々な漢方に含まれています。
カンゾウを多く取りすぎると、血中カリウムが下がりすぎ、血圧が上がりすぎてしまうのです。
その結果頭が重くなったり、歩きにくくなるなどの副作用が現れてしまいます。
漢方を服用していて、いつもと体調が違うと感じることがあれば、1度服用を中止し医師薬剤師に相談することをおすすめします。
漢方を用いたダイエット成功の秘訣
ダイエット成功の秘訣は、漢方を服用するだけなく、複数の要素を組み合わせることです。
具体的にはどうしたら成功するのかを確認していきましょう。
(1) 適度な運動とバランスの良い食事
ダイエットを成功に導くには、体質改善だけでなく運動とバランスの良い食事を取ることが大事です。
せっかく漢方で体質を改善しても、暴飲暴食をしてしまえばダイエットにはつながりません。
また無理なく運動することで、体質改善をより促すことができるでしょう。
運動も散歩程度の軽いものでも構いません。
習慣化するまでが大変ですが、無理なく運動を続けましょう。
(2) 定期的な健康診断と医師とのコミュニケーション
体質改善がされているか確認するために、定期的な健康診断を受けましょう。
健康診断を受けることで、漢方の効果がご自身に合っているか確認できるからです。
例えば、中性脂肪。
防風通聖散は、中性脂肪を減少させる効果が期待されています。
中性脂肪は血液検査で判明するため、防風通聖散の効き目が出ているかは定期的な健康診断での判定が必要なのです。
また体質が変わってしまい、今まで効果があった漢方薬も合わなくなってしまう可能性もあります。
定期的に医師とコミュニケーションを取り、体質のことなどを話し合うこともご自身にあった漢方薬を処方してもらうためには重要でしょう。
ダイエット漢方薬についてのまとめ
ダイエット漢方薬について解説しました。
漢方薬は処方薬もありますが、ドラッグストアなどでも販売しており気軽にチャレンジしやすいのではないでしょうか。
気軽に手を出せる分、効果が出るようにご自身の体調をしっかりと見極めないといけません。
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